健康コラム 2025.07.25
【意外と知らない!】生活環境にあふれる紫外線

紫外線は肌にとって良くないと何となくは知っている方が多いと思います。特に日焼けをしたくない方は日頃から紫外線対策に気を付けていると思います。近年は男性でも日焼け止めを塗ったり、日傘をさしたりという方が増えてきました。
日焼けのイメージが強い紫外線ですが、実はそれだけではなく肌に様々な影響を与えていることが知られています。米国皮膚科学会では、老化の原因の約8割が紫外線の影響であると言われているほど、紫外線は肌にとって恐ろしいものです。
また、紫外線は夏でも曇りでも室内でも私たちに降り注いでいます。紫外線の特徴について知り、正しく効果的な紫外線対策をできるようにしていきましょう。
≪目次≫
肌にダメージを与える紫外線の種類
紫外線は太陽から放たれる光線の一種です。
太陽から放たれる光線は波長の異なる、ガンマ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線に分類されています。さらに紫外線は波長が短いものから順に、UV-C、UV-B、UV-Aに分類されます。
波長が290㎚未満のものはオゾン層などの上空の分子によって全て吸収されるため、紫外線もUV-Cと一部のUV-Bは、私たちの住む地表までは届きません。
地表に届く紫外線はUV-AとUV-Bの2種類があり、それぞれ肌に与えるダメージも異なります。

UV-A(長波長紫外線:320~400nm)
UV-Aは地表に届く紫外線の約9割を占め、肌の真皮まで届きます。UV-Bと比べるとエネルギーは比較的弱いですが、真皮のコラーゲンやエラスチンを変性させることでしわやたるみの原因になることが分かっています。
生活紫外線とも呼ばれ、日常的に浴びてしまうことで皮膚が黒くなるサンタンの原因にもなります。紫外線による老化(光老化)の主な原因であり、UV-Bに比べ肌へのダメージをすぐには感じにくく、時間をかけて蓄積していく傾向があります。
日焼け止めの表示ではPA値が関わっており、PA値の高いものほどUV-Aをカットする効果は高いといえます。
UV-B(中波長紫外線:280~320nm)
いわゆる日焼けを起こすのがこのUV-Bです。UV-Bは空気中のチリやホコリによる散乱性が高いため、あらゆる方向から肌に届きます。皮膚での透過性は低いため、主に表皮にダメージを与えます。UV-Aに比べエネルギーが高く、細胞の遺伝子を傷つけます。
UV-Bは皮膚を赤く炎症させるサンバーンと、メラニンを増やし皮膚を黒くするサンタンと2種類の日焼けを引き起こします。サンタンとサンバーンのどちらが起きやすいかは体質次第ですが、サンバーンを繰り返すと皮膚がんの原因にもなることが分かっています。
また、UV-Bが肌のターンオーバーを乱すことで、肌がごわつき、角層の水分も枯渇して乾燥や肌荒れを招きます。
日焼け止めの表示ではSPF値が関わっており、SPF値が高いものほど日焼けはしにくいと言えます。
紫外線が多いのはどんな時?
紫外線が多いのはどんな時か、どんな条件の時にどのくらい紫外線があるのか知っておくと、適切は日焼け止め選びや紫外線対策ができ、肌へのダメージを減らすことができます。
紫外線量は、季節、天候、時間、地域、標高などによって変化します。
冬でも半分にしか減らない!?

紫外線量は、季節により変動します。
一般的なイメージ通り紫外線量のピークは夏ですが、紫外線の種類によっても異なり、UV-Aに関しては夏と同等かそれ以上に春に増えるという特徴があります。
また、UV-Bの量は7~8月にピークを迎え冬場は1/5程度にまで減少するのに対し、UV-Aは4~9月まで紫外線量が多い時期が続き、冬場でもピーク時の半分程度にしか減少しないというのも特徴です。
つまり、肌の真皮まで届きしわやたるみの原因になる紫外線は1年中かなりの量が肌に届いていること。まだ春だからと紫外線対策を怠っていると、10年後、20年後の肌に影響する可能性が高まります。
曇りでも半分以上!

【参照】気象庁:雲と紫外線 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/env/uvhp/3-73uvindex_mini.html
※UVインデックス:紫外線が人体に及ぼす影響の度合いを数値で表したもので、紫外線の強さを指標化したもの。
紫外線の量は天候によっても変わります。
快晴時が最も紫外線量が多く、晴れでもほとんど変わらず地表に届きます。そして空全体が薄く雲で覆われているような状態の日(建物の影ができる程度)も、快晴時の80~90%ほどにしか減少しません。
さらに雲が厚くなった状態では約60%程度、雨の場合は30%程度まで減少します。夏の曇りの日は冬の晴れた日よりも紫外線量が多いということになります。
曇っているからといって紫外線対策を怠っていると、気づいたら冬より肌が焼けている…ということになっているかもしれません。
時間帯でも大きく変化
紫外線は若干の地域差もありますが、12時前後の太陽が最も高くなる時に一番多くなります。同じ快晴の日では午前8時~9時頃や午後3時頃ではピーク時の半分程度の量で、日の出前や日没後には紫外線量がほぼ0になります。
夏場でも日中に外に出ない方は、強すぎる日焼け止めを使うことで逆に肌トラブルになる可能性もあるため、自分のライフスタイルに合ったものを使用するのがおすすめです。
旅行先でも要注意な地域差
紫外線の量は地域によっても異なります。地球上で最も太陽が近いのは赤道直下の地域ですので、赤道に近づくにつれ紫外線量が多くなります。日本では南にいくほど太陽が近いため沖縄や九州では特に紫外線が強くなります。
また、標高が高くなると太陽に近づくため、紫外線量が多くなります。標高が約1000m上がると紫外線量は10%高くなると言われ、更に空気が澄んでいる場合はさらに紫外線量が多くなることがあります。赤道付近の地域でなくても、標高の高い地域や登山の際などは普段より強い紫外線を浴びていることになります。
紫外線の反射・散乱・透過
空気中でも散乱する紫外線
紫外線は太陽光から直接届くのみではありません。紫外線は反射するため、地面から反射したものや、チリやホコリによって散乱したものも届きます。それもかなりの量が反射によって届いています。
波長の短い紫外線は可視光線よりも反射しやすく、可視光線の散乱光の割合が1~2割なのに対し、紫外線の散乱光の割合は6割にも上ります。
仮に日陰に入って直接太陽光を浴びないようにしても、降りかかる紫外線自体は直射日光を浴びるときの半分もカットできていないということになります。
地表の紫外線反射量
紫外線の反射率は地表の種類によっても異なります。
新雪 | 砂浜 | 水 | アスファルト | 草 |
---|---|---|---|---|
80% | 10~25% | 10~20% | 10% | ~10% |
スキー場など雪山では日焼けをしやすいですが、それは標高が高い上、雪の紫外線反射率がアスファルトに比べ8倍もあるからです。
また、海水浴などの際は砂浜や水がアスファルトよりも多く紫外線を反射させるため焼けやすくなります。紫外線は水中でも透過し、水深50㎝で透過率約40%とされているため、海に入る際などもやはり日焼け止めは欠かせません。
室内での紫外線量
室内にいても紫外線は入ってくるから日焼け止めを塗った方がいいと聞いたことはありませんか?確かに紫外線はガラス越しにも入ってくるのですが、実はUVカット素材でない普通のガラスでも波長の短いUV-Bはほとんど透過しないことが分かっています。
一方でしわやたるみに関わるUV-Aは透過しやすく、窓に近いほど紫外線を浴びやすくなすため、UVカット製品の使用や窓付近で過ごさないようにすることも効果的です。
年間で見ると、屋内で働く人は屋外で働く人の10~20%の紫外線を浴びているとされています。日焼け止めが肌を刺激する側面もあるため、肌状態を見ながら自分に合った紫外線対策をしていきましょう。
服と紫外線
紫外線は服も透過するとよく聞きます。しかしガラス同様、日焼けに関わるUV-Bは透過しにくくUV-Aが透過しやすい傾向があります。
特に、ポリエステルやウールの場合は90%ほどのUV-Bをカットできるとされています。また黒など色が暗いものほど紫外線吸収率が高く透過率が低い傾向があります。
しかし、夏場は暗い服だと熱を吸収しやすく熱中症のリスクも高まるため気温やTPOを考えて選択するのがおすすめです。
日焼けの種類
サンタンとサンバーン
日焼けの仕方には種類があります。肌の白い方は夏でも焼けにくかったり、日焼けをするとすぐに黒くなったり様々なタイプの方がいると思います。
一般に色白の方が紫外線を浴びると、すぐに肌が赤く炎症を起こすサンバーンが強く起き、その後肌が黒くなるサンタンは起きにくいため、夏でも焼けて黒くなることはありません。
一方で色黒の方はサンバーンにより赤くなることはありませんが数時間から数日で急激に黒くなります。日本人約17%が前者、約13%が後者に分類され、残りの約70%はその中間で紫外線によって少し赤くなり、時間が経つと徐々に黒くなってくると言われています。
これらの反応の違いはメラニンの種類の違いによって起こります。
ユーメラニンとフェオメラニン

メラニンにはユーメラニンとフェオメラニンの2種類があることが知られています。
ユーメラニンはいわゆるシミやそばかす、ほくろ、また髪の黒色などをつくっている色素で、色黒の人に多く存在します。一方のフェオメラニンは黄褐色と言われていますが、色白の人の肌色や欧米人の金髪などの色素になっているとされています。
詳しいことはまだ明らかになっていませんが、このようにメラニンの種類が肌色や日焼けの特徴、髪色などに大きく関係しているようです。
近年の日本では色白の方に憧れる方が多いですが、実はユーメラニンは細胞を傷つける活性酸素に対抗する働きがある一方、フェオメラニンにはその働きがないとされています。そのため、フェオメラニンが多い方は紫外線によって発生した活性酸素が細胞を傷つけ、皮膚がんのリスクが高まるなど長期的に考えると良いことばかりでもないという側面があります。
このようなことから、日焼けしにくいという方でも紫外線対策はしっかりと行うのがおすすめです。
ユーメラニンが多い場合でもたくさんの紫外線を浴びれば当然細胞自体は傷つきますので、どちらの日焼けタイプの場合でも紫外線対策は重要です。
まとめ

紫外線は美容の大敵ですが、ライフスタイルや生活環境によって紫外線を浴びている量は様々です、肌質や目的によっても必要な対策は異なります。
今後、日焼け止めや紫外線対策アイテムなど実際の紫外線対策について更新していきますので楽しみにお待ちください。